利益幅の設定だけで、トラリピの利益率が劇的に改善することをご存知ですか?
トラリピの「最適利益幅」を意識しないで、なんとなく設定しているだけではもったいない!
最適利益幅を今すぐ検証し、公式やインフルエンサーのミラートレードを卒業しましょう!
トラリピ 利益幅とATR
トラリピの利益幅を検討するには、「ATR」が最初の手掛かりになります。
ATRとは、「Average True Range(アベレージ・トゥルー・レンジ)」の頭文字で、その銘柄が1日に平均的にどれだけ動くかを表した指標です。
ATR値が大きいほど、1日の値動きが大きい=トレンドが発生していると読み取ることができます。
トラリピの利益幅を、ATRにすれば、理論上、1日1回は決済されることになります。
トラリピ公式サイトでは、AUD/JPYの利益幅は、過去6カ月のATRより少し少ない「0.40円」と例示されています(0.1万通貨で400円の利益)。

トラリピ公式は「資金効率」より「決済回数」優先です。決済が多いと、トラリピの満足度が上がる(=ユーザーのハートキャッチ)ためですね。
ATRは、利益幅の目安になりますが、資金効率を最大にすることはできません。
なぜなら、ATRはプラスの動きも、マイナスの動きも全てひっくるめて算出されるため、最適な利益を示すとは言えないからです(ATRは、価格変動を知るための指標にすぎません)。
トラリピの最適利益幅を探るには、バックテストが手がかりになります。
- ATRは1日の値動きの平均値
- ATRで利益幅を設定すると、理論上、1日1回決済される
- ATRはプラス・マイナス両方の動きを反映した値のため、資金効率を最大にする利益幅にはならない
- トラリピの最適利益幅を探るにはバックテストが必要
トラリピ 利益幅を増やすと利益率は上がる?
トラリピとオーストラリアドルの相性


AUD/JPYの過去チャートを確認すると、過去5年間は60.0~90.5円と、約30円の広めのレンジで変動をしています。
また、同じ価格帯をジグザグ動く「レンジ相場」ではなく、上昇、下降のトレンドがしっかり出ています。
チャートだけ見ると、トラリピに不向きの通貨ペアと言えます。
また、オーストラリアドルは、10年ほど前までは政策金利が5%を超えていたこともあり、「買い」注文で保有するだけでプラススワップの恩恵がありましたが、2016年以降は政策金利が1%台に下がり、長期保有のメリットも乏しくなっています。
ただし、2020年ごろから上昇トレンドが見られるため、「買い」トラリピで運用するには適しているものとみられます。
AUD/JPYのバックテスト期間について
AUD/JPYは上昇トレンドが出ている期間のみ運用する予定のため、長期のバックテストは不要とみられます。
らくなは、直近の最高値と、最安値を包括する、過去5年間をバックテストの対象に選びました。
なお、らくなは「プラススワップ運用」を希望するため、AUD/JPYは「買い」注文のみで検討します(トラリピのマイナススワップは長期運用するほど不利になるためです)。
バックテストツールは「働きたくないガチ勢」のアビさんにお借りしました。
トラリピ AUD/JPY・利益幅 バックテスト結果
トラリピのバックテストによると、利益幅を増やすほど、資金効率が上がることが判明しました。
過去5年間の実績によるバックテストより、AUD/JPYの利益幅は「3.1円(0.1万通貨注文で3,100円の利幅)」が最も資金効率が良い結果となりました。
次の表は、利益幅1円の設定(0.1万通貨注文、利幅1,000円)を基準値とし、利益幅が最大となる設定(0.1万通貨注文、利幅2,300円)と比較したものです。
1.88項目 | 基準値 | 最適利益幅 |
---|---|---|
トラップ幅 | 60.0~90.5円 | 60.0~90.5円 |
トラップ本数 | 306本(0.1円間隔) | 306本(0.1円間隔) |
注文通貨数 | 0.1万通貨 | 0.1万通貨 |
利益幅 | 1.0円(0.1万通貨で1,000円) | 3.1円(0.1万通貨で3,100円) |
決済回数 | 3,154回 | 1,175回 |
実現利益(5年分) | 3,154,000円 | 3,642,500円 |
含み損(MAX) | ▲4,413,717円 | ▲4,413,717円 |
必要資金(MAX) | 5,309,469円 | 5,309,469円 |
利益率 | 11.88% | 13.72% |
トラリピは、トラップを仕掛けた場所までトレンドが戻って来ない限り、2度目のトラップが発動しないため、細かく注文・決済を刻むよりも、1度のトラップで最大利益を確保するほうが効率が上がるようです。



利益幅を大きくすれば、決済回数が少なくても利益を確保できると判明!
トラリピ 利益幅とスプレッド
トラリピのバックテストにより、利益幅を増やすと、資金効率が上がることが判明しました。
さらに、利益幅を増やすと、決済回数が減るため、副効果として、スプレッド手数料も大幅に抑えることができます。
スプレッド手数料とは
スプレッド手数料とは、売値と買値の差額で、取引の度に発生します。
トラリピの「CSV出力」機能では確認できませんが、注文取引・決済取引の度にスプレッド手数料を支払っています。
トラリピでAUD/JPYの取引をする場合、1回につき約3~5銭がスプレッド手数料として差し引かれます(スプレッドは時価のため、取引の勢いによって増えたり、減ったりします。)。
利益幅を増やすと副効果として決済回数が減り、スプレッド手数料の発生タイミングを減らすことができます。
利益幅を増やすことは、利益の最大化とともに、スプレッド手数料を押さえることにもつながり、一石二鳥です。
トラリピのスプレッド手数料


上図の場合、スプレッド手数料は約7銭(0.07円)です。
0.1万通貨(1,000通貨)で取引をする場合、約70円の手数料を支払う計算になります(0.07円×1,000通貨=70円)。
トラリピで利益を出すには「新規」と「決済」の2回の注文が必要となります。どちらのタイミングでもスプレッド手数料が発生するため、70円×2回=約140円をスプレッド手数料として支払うことになります。



実際に確認すると、スプレッド、かなりお高いですね…。
スプレッドと取引数量、利益幅の関係
1回の取引で必要となるスプレッド手数料は、次の計算式で求められます。
スプレッドの計算式に「利益幅」は出てこないため、「利益幅」を増やしても、スプレッド手数料の増減に影響が出ません。



利益幅は、スプレッド手数料を気にせずガンガン増やせます
一方、「注文数量」を増やせば、スプレッド手数料も比例して増加します。
例えば、注文数量を0.1万通貨から0.3万通貨に増やせば、スプレッド手数料も増えてしまいます。
トラップ数を減らせば、スプレッド手数料の発生タイミングを減らすことができますが、注文数量を増やさなければ資金効率が悪化してしまいます。
トラップ数の削減は、注文数量の増加とセットの戦略になりますが、この戦略では、スプレッドを減らす効果はありません。
つまり、「決済回数を減らして、スプレッド手数料を抑える」とは、トラップ数を減らす(=1回の注文数量を増やす)ことでは達成できず、利益幅を増やし、決済回数を減らすことが正解となります。
- トラリピは、注文が成立する都度、スプレッド手数料が発生する。
- トラリピの利益幅を増やしても、スプレッド手数料は増えない。
- 注文回数を減らせば、スプレッド手数料を抑えることができる。
- 注文回数を減らしても、注文数量を増やせば、スプレッド手数料は減らせない。
- スプレッド手数料を抑えるためには、注文数量を減らすのではなく、利益幅を増やし、決済回数を減らすことが正解となる。



1,000円の利益幅でも、3,100円の利益幅でもスプレッド手数料は同じ!(0.1万通貨注文なら約140円)
トラリピ利益幅 コアレンジ戦略と資金効率
トラリピ AUD/JPY・コアレンジ戦略の概要
ここまで、トラリピの「利益幅」を増やし、資金効率を上げることについて説明してきました。
さらにトラリピの資金効率を上げるため、トラップを仕掛ける範囲を絞る「コアレンジ戦略」を検討します。



少ない範囲に資金を集中させ、資金効率を上げる作戦です!


AUD/JPYは、過去5年間で60.0~90.5円のレンジの中で上下を繰り返していますが、60~68円の間は例外的な急落・急騰によるもののため、無視してよいでしょう。
また、トラップ下限を考えるにあたって、過去チャート(月足)を参照すると、直前最安値(〇印)を下回る陰線が現れると、下降トレンドが発生する傾向にあることがわかります
この法則をあてはめると、直近の最安値「73.0円」を下回る局面からは、下降トレンドが現れ、「買い」注文では稼げなくなりそうです。そこで、コアレンジ戦略のトラップの下限は73.0円とし、これを下回る場合はAUD/JPYのトラリピ運用を中断することとします。



AUD/JPYは上昇トレンドの間だけ運用します。直近の最安値を下回る場合は、撤退し、次の上昇トレンドを待つことにします。
さらに、過去5年のレンジ内で相場が上下すると考えると、87.0円以上の場所にトラップを仕掛けても、ほとんど利益が期待できないため、トラップの上限は87.0円とします。
以上の理由により、AUD/JPYは、73.0~87.0円を「コアレンジ」として集中してトラップを仕掛け(画像の赤色部分)、コアレンジを下抜けた際は、運用を中断することとします。
トラリピ AUD/JPY・コアレンジ戦略バックテスト結果
トラリピのコアレンジ戦略をバックテストで検証した結果、必要資金を3割以上削減し、資金効率が改善されることが判明しました。
前の章で検討した「最適利益幅」と「コアレンジ」の比較は次表のとおりです。
※「最適利益幅」からの変更点は「トラップ幅・トラップ本数」だけです。
項目 | 最適利益幅 | 最適利益幅+コアレンジ |
---|---|---|
トラップ幅 | 60.0~90.5円 | 73.0~87.0円 |
トラップ本数 | 306本(0.1円間隔) | 141本(0.1円間隔) |
注文通貨数 | 0.1万通貨 | 0.1万通貨 |
利益幅 | 3.1円(0.1万通貨で3,100円) | 3.1円(0.1万通貨で3,100円) |
決済回数 | 1,175回 | 992回 |
実現利益(5年分) | 3,642,500円 | 3,075,200円 |
含み損(MAX) | ▲4,413,717円 | ▲2,744,001円 |
必要資金(MAX) | 5,309,469円 | 3,195,201円 |
利益率 | 13.72% | 19.25% |



トラップ範囲を絞ったことで、必要資金(最大値)が改善されました。
トラリピ 最適利益幅と今後の戦略
トラリピ AUD/JPY 最適利益幅の設定
AUD/JPYの直近5年間の最適利益幅は、3.1円(0.1万通貨で3,100円)と判明したため、これを踏まえて、利益幅は3.0円でトラリピを発注していきます。
トラリピの最適設定は次の画像のとおりです。らくなが確認した最適利益幅で注文する場合は、2回に分けて設定してください(トラリピは1度にトラップ99本までしか設定できないため、100本以上のトラップを仕掛ける場合は、分割して注文する必要があります。)。





資金によっては、設定①のみの注文でもOKです。
トラリピ AUD/JPY最適利益幅設定の検証
過去5年間で、トラリピの最適利益幅は「3.1円」と判明しましたが、これから設定するには「3.0円」あたりが妥当なラインといえるでしょう。
バックテストの結果を受け、らくなは、1回の利益幅を1,000円、2,000円、3,000円の3パターンで検証することにします。
バックテストの結果をもとに、実際にお金を動かして確認していきたいと思います。
なお、利益幅1,000円はトラリピで、利益幅2,000円、3,000円はマネパ(連続予約注文)で設定し、比較していきます(資金の関係です…)。



検証結果は2021年5月以降の月次報告でお伝えします。乞うご期待!